「クリスマスを前に・・・その2」

あと1ヶ月で、クリスマスイブですね。
12年前のイブの夜、私は、大きな病院の小さな病室で、
ひとりポツンとベッドの上にいました。
一人目の子を流産してしまい、
一泊だけ入院することになったためでした。
涙が止まらず、私の体のどこでこんなに涙が作られるんだろうと、
不思議に思ったほどです。
もちろんその日が、クリスマスイブだなんてことは、
もう私とは別の世界のこと・・・
・・・不意に、ノックの音がしました。顔を上げると、
あの頃、まだ珍しかった男の看護士さんが、サンタの変装をして立っていたのです。
手には、本物ではない(でも、おもちゃでもない)サックスを持って。
小さな声で、「1曲吹いてもいいですか?」と聞きます。
私は、考える余裕もなく、子どものように大きく頷いたのを覚えています。
曲は、「サンタが街にやってくる」でした。
サックスが左右に大きくスイングしていたのが、やけに目に焼きつきました。
その後のことはもう覚えていませんが、
朝まで、静かに寝ていたように思います。
あの夜の出来事は、なぜか年月を重ねるごとに、現実味が無くなっていくのです。
そして、あの看護士さんは、もしかしてサンタさん?なんて、
おかしいですが、ちょっと考えてしまったりするのです。
♪♪♪♪「クリスマスを前に・・・その1」はこちらです→「クリスマスを前に・・・」
この記事へのコメント
一つの思い出に多くの想いを詰めて、だけど命を失った現実だけは忘れないであげてくださいねv